日本の染織 紅型 沖縄の心を染めた紅型 紅型は沖縄の染物である。紅型の名はただちに、多彩で調子の強い染物を連想させるが多彩な紅型は沖縄の地理的環境の代弁者でもある。強い陽光が矢束となって降りそそぐ南海の彩りは、全ての色が鮮やかに見える。亜熱帯の島は常緑であり、四季、花が絶えない。丘の土の赤さ、浜の白さも、花や樹木の緑を深い空に浮き立たせる。陽光の豊かさは樹木の葉一枚一枚、さらにわずかな水深によって紅から紫、そして緑にと高い明度で微妙な違いを見せる。澄明な空気は夜空の星の遠近までわかるような気がする。海洋の気候は雲足が早い。空を眺めていると一瞬として雲は止まっていないし、本土の冬空のような硬い雲もない。湿気の多さは光の屈折を変え、夕闇の紅色、星空の淡緑や淡紫は膨らみがある色、それは紅型の地色そのものである。 沖縄の地文な美を綴った。紅型の詳細等は後ほど<中間資料>で作成し、入れかえを行う。 沖縄の染物の一つに、藍型と呼ぶ藍を主色としたものがある。紅型が沖縄の昼の世界なら、藍型は夜の世界を、また紅型が島の景色なら藍型は島を囲む海底の詩である。岩に揺らぐ藻、磯を縫う魚の群の影の濡色が藍型の色である。久米島紬の紬は、琉球多蚕繭とよばれる繭で本土のものとは異なった南中国系の蚕がつくる。やや黄灰色を帯び光沢は少ないが、上質の鞣皮(なめししたもの)のようなしなりがあり、紅型の染め味の潤いを持つ理由は糸質負うところが大きい。芭蕉布も特産的な繊維である。乾燥を嫌い、石灰質を好む植物で全域に繁茂するが、繊維を彩る芭蕉は糸芭蕉とよび、風を避けて斜面か屋敷内に植え風物的特色になる。広義の麻に属し、小麦粉の堅い繊維であるが、首里の煮綛とよぶ撚を利かせ、充分に灰汁処理をしたものは染め色が上すべりをしない。絵具ののりが良くないので紅型には使われないが藍の染付きが良い点もあって、藍型には深々とした染味がある。