絣のロジック5

本場結城紬の総柄二種

 

半手(はんて)と総手(そうて)について 絣技術と生産方法の違いと理論

絣は設計された図案をつくりできあがっていきます。本場結城紬の総柄の二種、半手と総手の絣の違いをのべるページがみつからなかったので今回、その説明と解説をこころみる。まず、半手についてのべよう。設計図案があり、ここからは絣職人が読み取る作業です。半手の場合ですが、図案<A>をまず中心からA-AとA-Bというように中心から左と右にわかれた状態として区別します。(左記)
それが、左右反転して前にすすむ(表裏でいうと裏になってまえにすすむともいえる)という特殊な絣の組み立てがおこなわれます。そのため、絣の配置はA-B裏とA-A裏という配置に織られていきます。
その先はさらにそこから左右反転まえにすすみ、A-A表、A-B表という配置の絣になります。左右反転まえにすすむという特殊な絣のすすみ具合になるのが<半手はんて>とよばれる総柄です。
このあとに、もう一つの総柄の種類、総手(そうて)についても解説しますが、半手はのびのあるデザインがうまれやすいのが特徴です。
半手の図案は上辺C(Z)と下辺C(Z)、上辺D(R)と下辺D(R)が絣の図案として接合される部分であり、この接合部分を設計図案の状態で計算して設計することでのびのあるデザインがうまれやすくなります。織物は平面でありますが、ここの接合される部分をうまく使いあたかもその絣がつながっているかのようにみせることもできます。これが半手の総柄の特徴のために最大限に活用するのが有効な手段といえます。
次に総手(そうて)とよばれる総柄についてのべます。総手とは設計図案をそのままそっくりつくり、完成されていきます。
そのため、絣のすすみ具合、すすみ方も図案Aがそのままどんどん上へ向かって織られていきますので絣の配置は半手ほどの複雑なながれにはなりません、そのまま図案Aが上へ上へとすすみます。
半手の解説同様、織のすすみ方は遠くからの視線だと左図のような配列になります。これが総手とよばれる総柄です。この総手は半手のような図案での工夫を取り入れにくく、どうしても平面的な図案になりやすく、そして半手でいう4反を用意すると総手の場合8反できあがります。平面的な図案を大量につくってもそれはそれであとにおえない部分などの不都合も重なり、ほとんどの総柄は平成では半手が大部分をしめています。4反生産で小刻みにデザインがつくれ次々に新しい意匠がここで誕生しやすい環境にあったともいまではみてとれるでしょう。大島紬は4反のために絣は生産できず、大量に同じ絣ができてしまうので結城の絣とここでもある意味違いをみてとれます。

上記に記したように、接合部分(W)があるが半手の図案と比べてのびのあるデザインがうまれにくい。どうしても平面的になりがち

総手の図案

写真の作業画像は、絣のタテは専用の道具にタテ枠に糸を巻きつけていきます。総柄の半手、総手、それから飛の絣はこの四面どりで絣のタテ糸は成り立っています。必ず四面①②③④をとります。図案が4つとれるようにします。 上から巻きつけた糸をみた視点の場合の図
絣のタテの絣は、かならず中心の線に向かってよみとられていきます。上記の図案は中心まで110手という場合です。これを使って説明していきます。 半手の場合ですが中心から左をA-Aと右をA-Bとし、こうして説明してきましたが、絣くくりではここから生産方法が若干異なってきます。半手と総手の二種の総柄と飛について説明をおこなっていきます。 
図案は外側から中心にむかって絣を数えていく(半手の場合) タテ絣は図案を四面とると話していましたが、巻きつけたタテ糸は枠のまわりをぐるぐるまきつけられている状態です。①の反対側が②となっています。半手、総手、飛、これらの絣は①②と③④はそれぞれついになっているので①と②は同じ、③と④は同じ絣になっています。これも独特な絣の生産方法といえるかもしれません。
タテ絣糸をまきつけたものに下から上へと向かって絣1から中心までの手数(110手)を括っていきます。これは半手、総手、それに飛、これらすべてに共通していえます。この生産方法は変わりありません。 半手の場合、図案Aの左A-Aを左記の生産方法にしたがって絣括りしていきます。
この場合①がA-Aであれば後ろ側の②もA-Aになり、③がA-Bであれば④もA-Bになります。これはこれまで述べたようにそのように①②がついで同じ絣、③④がついで同じ絣という生産方法がそのままあてはめられます。 左記同
タテ絣のよみとりは前記したようにかならず中心、中央にむかって外側から数えていくとのべたように図にすると上記画像のようになります。(半手A-Bの場合) 同じく生産方法を図にした場合、左記と同じことがいえます。(半手A-Aの場合) 
総手の場合は図案を左から右へすべての手数を数えます。これは図案を中心にむかって数えない絣ならではの手数のひろい方といえます。これも前記したように半手でいう4反つくる準備をすると総手の絣は8反できてしまうのです。 総手の場合、
タテ絣も①②③④の4面が図案Aで成り立っています。
(総手の場合)タテ絣も①②③④が図案Aで成り立っています。総手220手の場合ということで図にしたのですが、左から右へよみとった絣の手数を下から上へと絣括りします。 飛の場合をみてみましょう。飛は図案に間をもうける構成になっておりどちらかに図案がよっています。図ではGの部分が飛のデザインという場合です。飛は難しい話をするとさらに地空(じあき)とよばれる余白となる地(無地)の配慮があるなどそれなりに制約や決まりごとはあります。あまり地空が大きいとあっさりし過ぎてしまったり、逆に小さい(少ない)と柄がこみいってきて飛の絣ならではの華麗さ(柄が飛んでいく躍動感)がなくなります。
飛の場合 飛の場合もタテ絣を①②③④の4面をとったものですが飛の絣の場合は①②か③④のどちらかのついの絣しか括りません。総柄の絣の手間が半分くらいではないかとみてとれるでしょう。そして絣の読み取り方は中心(中央)にむかって外側から絣の手数を数えていき絣括りがおこなわれます。以上のような、絣の総柄の二種、半手と総手、それから飛の絣の生産方法の解説がネット上に乏しいと思われる点があったため、情報強化をおこない今回のイラスト30枚近い記事の長文にて解説をおこなった。北村陵