十字絣(蚊絣)

生産の基礎技術と解説

まず十字絣(蚊絣)についてのべます。十字絣はもともと大きな十字をえがく絣でしたが、結城の産地ならではの精緻さからくる厳密なる絣精度はやがて蚊絣として生き残り、現代につむがれています。十字絣はもっともシンプルに集約をした簡単で素朴な経緯絣(たてよこがすり)です。見習いの絣のものがまずはじめに覚える絣です。そして高度な技術のうえにだけ成り立つ細かい蚊絣は男物としてゆるぎない絣ものとして、確たるポジションを確立してきました。では、その蚊絣には、どのようなものかを細かくみてみましょう。上記の図にしめしたように織の段階で緯糸を1往復させ、なおかつ往復させし絣糸をほぼ同じく重なるように織ります。ここでさらにタテ(経)の絣ともあわせます。ただこれだけです。しかし、このもっとも簡単な経緯絣は単純であるがゆえに織技術も絣技術も技術としてのごまかしのきかぬものなのです。たまご料理でおいしく焼いてくださいといわれてプロの方は間違いなくそうでない人との差をつけてきます。まったく同じことが染織の世界でもおこります。そして、ヨコは1往復させることで左記のような成り立ちになります。蚊絣のヨコを顕微鏡なりなんなりのぞくとこのようになっているのが結城の蚊絣です。例えばかりに、ヨコが1往復せずに織られていればそれは結城の蚊絣ではありません。これは基礎中の基礎ですので覚えて損はありません。かならず図にしめしたようになっているはずです。
蚊絣はヨコが往復で織られている。重なっているヨコ絣でさらにそこにタテの絣ともあわせてある。織られたヨコ糸はよくみると二本になっている  

タテとヨコが緻密な感覚であわせられ<点 >の柄のようになる。

これが経緯絣のもっともシンプルにした絣<蚊絣>である。

縞に絣をいれることもできる。
蚊絣において、県の研究員と職人が協力してコンピュータのはじきだすありとあらゆるパターンの蚊絣を出し、その現物資料は非公開が約束のため公開できないが、もっとも美しい蚊絣とはどういうものかなど研究が重ねられた。正確にいえばまだ答えが出ていないのかもしれない。 
ソロ蚊絣
最小手数 2手
織物の巾がすべて一定のため、往復2手ですむ

ぐのめ(互ノ目)蚊絣

最小手数 4手

A,Bで織物のはしからの距離が異なり往復(2手づつ)4手