草木染野帖 大場キミ 著

「草木染野帖」は草木染めをこれから手がけようとする人のために書かれたものだが、くどくどしい解説はいっさいなくて、さっぱりした随筆風の手引き書になっていると思うと本書の初めに真壁仁が「自然のいのちを染める」と題して解説している。著書のはじめにかかれている言葉で奥深い味わいのある言葉を引用しよう。「春の新緑、そして開花、秋の紅葉、この自然の移り変わりを見ていると、あんな色が採れたら、と思うのは私だけではないと思う。そんな素朴な考えが、私の草木染のような気がする。そして自然から学びえたものは始めがあって終わりがあるということ、生命をもっているものはみな同じであるということであった。としている。さらに、「それに草の一生をあてはめてみると、最盛期に色を採ったほうが一番円熟した、しかも最も鮮明な色が採れるということである。それでは草の最盛期はいつか。花が咲き、実を結び、やがて種子を土に還して、枯れていく。その実を結ぶ、そのころを最盛期と私は呼んでいる。」ということである。昭和の終わり頃の草木染めを楽しむものは、美しい紫色を出す紫根は材料店からでないと入手できなかったため、あまり使われない、使いにくい色であった。もしくはあえてその紫色を出したい場合は素材を自分で育てなければならなかった。著者はどうにか、どうしても紫色が欲しい場合、梅干しのときに使う赤紫蘇から採ったという。紅花と栗のいがとの二色染めもいい色を出したという。染料植物を再度、知識として取り入れたい場合最適な染色資料である。

北村陵