絣の解説と現在

十字絣(男女の違い)と矢羽根絣

十字絣(蚊絣)の白地に蚊のような小さい十字絣は夏の男ものとして木綿や麻や上布などでも認知され、黒、茶、紺などの渋目の色に、白地の絣があることは、単に模様の美しさだけでなく、着物がどのくらい汚れているのか白地のわずかな絣の部分をみることで洗濯の目安にしたなどの布の清潔を見極めるためのものでもあったという記録も少なくない。女ものの十字絣は複数のタテとヨコをかさね、花模様より洒落て美しいことが生産された背景がある。さらには中央部分に異なる色を染め、オリジナリティを出す絣産地も登場してきた。手のひらに一つというような大胆な大きな絣から小指の爪くらいの大きさで楽しむなどの変遷もあったと思われる。男ものの十字絣には女の優しさがないが、女は女のために絣の創意工夫が込められ十字絣が生産された。女ものの十字絣のタテ、ヨコの絣糸に色をつけ、着物をより華やかにみせる生活の知恵もそこから読み取ることができる。また、矢羽根(やばね)と呼ばれる伝統的な柄は、昔は御殿女中が着たもの、未婚女性が着るもの、などの柄のもつ意味もあるにはあるが、現在はそうした柄のもつ意味とは関係なくとりいれて着るものとしても広まっており、着たい着物をただ単純に着ているのだ、というのが単純明快な動機だとおもうしそれが着物を愛用するコアでべストな意見のような気もする。