楽しい古裂 更紗 上田晶子 選 奥田実 文抜粋引用 梶洋哉 写真 インドネシアを中心に多種多様な染織布をコレクションのように美しい写真で掲載されている。うっとりする。現在はインドネシアは二百以上の民族で構成されているというのだから布ひとつとっても多種多様にはなるものであろう、美しい。伝統染織の技法も当然多様であり、絣、バティック(ジャワ更紗 さらさ)と呼ばれる、ろうけつ染、紋織り、紋り染め、刺繍、印金、描き染め等が主要なものであるが、スコトラ島南部のコームリン、ロンボク、バリ、ティモール各島の一部やスラウェシ島、タナトラジャ、等には綴れつづれ織りやカード織りの技法もみられるという。百年以上前に織られた支配者階級の人々の儀式の腰布、肩掛け、壁布に複雑な技術工程(戦国武将で和室にインド更紗をふすまにした人物もいるくらい美術価値がある、かつ美しい。)を経た織物が多くみられるとあって布たちは多彩性に富んでいるが、インドネシア共和国独立以降は諸民族の精神的バックボーンが交通と通信の手段と、通貨、経済の発達によって崩壊の速度を増し、今や海外輸出のためや旅行者の土産品需要を満たすための企画生産の織物が中心となってしまっているという。それは美しい織物布で知られる国々、タイ、インド、トルコも例外ではない。沖縄県の織物、広くは日本全国の染織、また広くは他国の染織文化も衰退の一途をたどるものとなっている。後世の人々にとって織物や自然布は人類は必要としないものなのだろうか。私も頭をかかえてしまいそうである。 北村陵 北村織物