染めの事典 風土を映す人の技 風土を映す人の技とのこの染めの本で私が惹かれる記事は何とっても吉岡常雄氏の担当のものである。そこによるものは、この本紹介100選の中で紹介したものに含まれども、詳しく知りたい人は吉岡常雄氏の本を購入していただきたい。古書に分類され絶版もしくは版元切れになってはいて専門書のため、高額ではある。ではあるがそちらを購入すれば知識を補うには充分といえるものだ。世界の染色のなかでも紅や紫をつくりだした染色技術は苦労の末の絶え間ない苦労と努力があったことはここに書き留めねばなるまいと思う。 紅について:エチオピアを原産とするキク科の植物で遥か四千年の昔より、染色や薬用にするために栽培されてきたといわれている。この花はその外見の通り、黄と赤の二種類の色素を含んでいる。黄色のほうは水に浸すだけで溶出し黄色系染料として用いられてきた。この黄色は染料としては定着が乏しい。そこでもう一つの赤色色素をとり出して布に展着されるには、何段階もの複雑な工程を必要とした。それらはこの本や吉岡常雄氏の専門書におさめられているのでそちらに目をとおしていただきたいと思う。この複雑な工程によっての紅は栽培に手間がかかり染色にも困難な技術を要したため、高価であったが選ばれた人々が自らを誇示するにふさわしい衣料として貴ばれ競って求められるという奇妙なる需要によって支えられた。こうした栽培法や染色法も長い間、秘方法とされ、こうしたことは中国で養蚕や蚕の存在がしばらく極秘になっていたことと変わりなく国家的な重要なファクターであった。平安時代、高価で貴重な紅花を幾度も染め重ね、深い紅色としたや八汐染め(やしおぞめ 別名 韓紅からくれない)や黄色の梔子(くちなし)やウコンで下染めし、濃い紅色を掛け合わせた朱華(はねず)と呼ぶ紅色は高位の人しか着用を許されない禁色(きんじき)と定められて色によって制限があった。一反の布を一斤染(いっこん)(約600g)の紅花で染めた薄紅色のみが認められこれを一斤染(いっこんぞめ いつこんぞめ)と称している。赤、青、黄 は自然界の色をうつしだすために皆必死の思いで布色に思いを託したのだろう。

参考までに赤、青、黄の染色素材例をあげておく

赤:紅花 茜(あかね) 蘇芳(すおう)

コチニール 青:藍

黄:サフラン 黄檗(きはだ) 梔子(くちなし)

を昔の人々は染色の染料として染めだした。 北村陵 北村織物