結城市の歴史 近代結城のなりたち

引用 参考書籍 結城市史 第六巻 近代現代通史編 発行:結城市  編集:結城市史編さん委員会

P992

原料商の営業活動

原料商は真綿を大部分福島県保原町から仕入れている。結城市内の原料

商についてみてみると各商店共9割以上を福島県から仕入れ、ごく例外的

に滋賀県、鳥取県両県から仕入れている。1959年(昭和34)調査による

と福島県50%、滋賀県40%となっていたが、現在では滋賀県からの仕入

れはいちじるしく減少し、その分福島県保原町からの仕入れが多くなって

いる。保原地方では結城地方への販売が最も多く、全産量の約6割を結城

地方へ送ると伝えられている。各原料商とも福島県保原町の問屋2〜3軒

と取引関係を持っている。保原町の問屋は毎月1〜2回原料商を訪問して

注文をとるが、原料商からも随時電話による注文を行っている。紬生産

が年々高級品に傾きつつあることを反映して、原料真綿についても高級品

が求められるようになってきている。真綿の仕入量は原料商の経営規模に

よって異なるが、例外的に規模の小さい2軒を除いて年間750〜1500kg

仕入に集中している。真綿仕入量の多い原料商は真綿のまま販売が多く、

中規模以下の原料商は紬糸に加工(委託加工)して販売する傾向が強い。

紬糸を真綿から引くのは農村の婦人によって行われる場合が多い。婦人

たちは原料商から真綿を買って糸を引き、これを原料商に売る。糸引き

の婦人たちが取引きする原料商は必ずしも一定していないため、原料商

は機屋の注文に応ずる紬糸を確保するため、足しげく近隣農村を訪問して

紬糸を買い入れている。農村で糸を引くのは中年以上の婦人が多く、従来

は周辺地区農村婦人の小遣稼ぎとして広く行われていた。最近では老年層

の生活安定によって糸を引く婦人が少なくなり、原料商の糸仕入は非常に

困難になっている。このような困難を打開するため原料商の協同組合では

繊維工業指導所と協力して糸引きの講習会を開設し、後継者の養成を積極

的に行っている。結城市もこれを後援し、随時<市報>で宣伝しているが、

必ずしも充分な成績をあげていない。産地では原料糸の供給不足をうれえる

声が強い。原料商の真綿販売は必ずしも固定していないが、店によっては

機屋との関係が密接でほぼ固定した顧客を確保している。真綿に比べると

紬糸の販売はいちじるしく固定している。紬糸の供給が逼迫しているうえ

紬生産の高級化が顧客固定化の大きな条件となっている。高級品を織り出す

機屋ほど原料商との関係は密接となっている。これに対し、下級品生産者

は経費節約によって経営の安定をはかるため、原料を真綿で買入れ、これを

機屋周辺の婦人たちに委託して紬糸にしている例が多い。しばしば原料商と

機屋の間で糸引き人のうばいあいを行う場面もみられる。各原料商は周辺

農村に100〜300人の糸引き人を確保している。車と電話の普及によって

機屋は紬糸を原料商に依存しなくなる例もみられるが、織物の高級化によっ

て原料商の機能が改めて見直されている。機屋の希望する紬糸を卸商が用意

して、反物の集荷をはかっている事例もみられる。

なお、真綿と紬糸に関する全般的な調査については、次のような史料もみら

れる。

<真綿と紬糸の実態>

地域別         使用真綿量              手紬糸にした数量

茨城県分        3870貫(うち自家生産700貫)     3096貫

栃木県分        2688貫(うち自家生産10貫)      2150貫

計           6558貫(うち自家生産710貫)     5246貫

(出典 1964年 <本場結城紬生産実態調査について> )

 

 

<原料商の営業活動    おわり >